レッカーサービス農協自動車 保険会社様からのロードサービスにて修理搬送をさせて頂きましたランボルギーニ ムルシエラゴ LP640 修理編も④になってしまいました。今回は前回、ランボルギーニ ムルシエラゴ LP640 修理編 ③ で配線を抜いてもバルブが閉じで燃料を送らなくなるイモビライザーを取っ払います。今回の記事が少々長くなっても最終回にしますよ〜! 最後まで宜しくお願いします。
●ランボルギーニ ムルシエラゴ LP640 E-gear ロードサービス搬送
ムルシエラゴ イモビライザー(燃料カットバルブ)と燃料フィルター
海外のランボルギーニフォーラムや他から聞く話によると、やはりディアブロやムルシエラゴはセキュリティー関係の不良が多いようです。こうなったらイモビライザーを取っ払うとどうなるのか?ディアブロではセキュリティーユニット丸ごととバルブを取っ払った事があります。ディアブロはエンジンキーとドアロックリモコンは別体でキーホルダー方式です。その際、ドアのロックアンロック機能のみの他社の安いユニットを使用しました。
しかし、ムルシエラゴはリモコンがエンジンキーと一体になっています。流石にドアロックのみのリモコンをキーホルダーでぶら下げるのも格好が悪すぎ!オーナー様がそれでも良いと言ったとしてもちょっとと言った感じです。元と同じ状態にするには純正のセキュリティーユニットは残さなくてはなりません。ユニットを残しイモビライザーだけ取ってしまえばエラーがでて他に不具合が出るかもしれない。そう考えながらも取りあえずイモビライザーを取り外してみました。
LP640 イモビライザー こんな物がうん十万円×2個
両バンクの燃料フィルターを取り外しました。バルブには基盤のような物が内蔵されており3極の端子ついたカプラーがついています。この基盤中に室内にあるユニットの6桁のPINコードを記憶する機能が備えられているのでしょう。画像の黒いホースは燃料タンクからのホースですが車載状態では工具が入らないようにガードがされています。これも盗難防止の為でしょうか?何とも原始的でハイテク感0です(笑)とっとと厄介なイモビライザーを取り外して燃料タンクからのホースと燃料フィルターを直結しちゃいましょ~!!
またも問題発生! 燃料フィルターと既存ホースを繋げられない
パーツリスト6番のアダプター(ニップル)には問題なく燃料タンク側からのホースを接続出来る事を確認したので、国内でこれと同じ物を見つければバルブを外して燃料バイパス完了です。そこで問題が!燃料フィルターと燃料タンクからのホースの口に合うニップルが国内に存在しないのです、ディアブロとは違う・・・・・
ネットでも探しまくりました!しかし、国内にそんな規格がないんです。アールズにもありません。燃料タンクからのホースに合うニップルは見つけましたが、燃料フィルター側のピッチに合ったニップルがないんです。燃料フィルターはアルミ製なので思いっきり締め付ければ閉まるでしょうが、ここは燃料ポンプからの圧力が直にかかる部分でなので間違いなく燃料漏れを起こすでしょう。最近リコールがでたランボルギーニ アヴェンタドールの様にエンジンルームから出火してしまう可能性大です。
ニップルごときに1個1万円近くもと思いながら、仕方なく6番のパーツを海外のランボルギーニパーツショップにオーダーすることに、しかし在庫を持ってるショップが1軒!それも2個必要なのに1個しか在庫がありません。海外からでも在庫があれば4,5日でパーツが届くでしょう、でも在庫が無い場合は2週間はかかってしまいます。こんな車では、パーツ待ちで作業が長期間遅れる事は多々ありることなんですが今回はニップル2個のみです。なんとか他に手はないものか?
街の金属加工屋さんの技術
とりあえず出来るだけ近いピッチのアルミ製のニップルを用意し街の金属加工屋さんに相談すると可能だろうとの事で他の作業の手を止め早速作業に取り掛かってくれました。工場の中には旋盤やフライス盤が並んでいます。
金属加工屋さんの社長は小さなニップルを大きな旋盤に挟み慣れた手つきで慎重に少しづつニップルのネジ山をフューエルフィルターのピッチに合うように旋盤のハンドルを回してくれました。少し削ってはフューエルフィルターにネジ込み確認しを繰り返し3度目ぐらいでジャストフィット! 最後にニップルのネジ山の先端を軽くペーパーで落とし完璧に2個を仕上げてくれました。
金属加工屋さんの社長は、年代は不明ですがレアで古い動かないバイクをレストアするのが趣味だそうで、もう手に入らないパーツだらけでも一から自分で作ってしまうとの事です。レストアの域を超えていました。社長のおかげで2週間以上待つこともなく次の作業に進めます!社長ありがとうございました。m(_ _)m
ニップル完成 ジャストフィット
街の金属加工屋さんのお陰で完成したニップルです。このニップルの先は内側が逆テーバー状になっています。燃料タンクからのホースのジョイント部分はナット付きで山型のテーパーになっているんです。日本の規格では逆ですよね!探してもないはずです。
イモビライザー取り外し燃料バイパス作業完了
燃料フィルターを元の位置に戻し燃料ポンプからのホースをフィルターに直結して、一応、取り外したイモビライザーに配線をつないだ状態でセルを回します。「キュル!ブゥォーーーン」一発始動です!しかし、アクセルを踏んでもバタついて吹きあがりません。
イモビライザーのバルブが閉まってるのにエンジンがかかっているとセキュリティーユニットが判断して吹かないのか?と脳裏をよぎります。
う〜〜んと燃料ポンプの方を見ると右側の燃料ポンプのコネクターを挿すのを忘れていました。片バンクしか燃料が行ってなかったんですね(笑)ポンプのコネクターを挿して再度エンジンスタートすると今度はスムーズに吹き上がり正常、しばらくエンジンをかけていても快調にアイドリングしています。心配していた燃料フィルターからの燃料漏れも全くありません。
イモビライザーの配線未接続状態でテスト
そのままイモビライザーに配線を繋いだ状態でエンジンルームの片隅に固定しても良かったのですが、ここまできたら配線を抜いてイモビライザーがない状態ではどうなるか?できる事なら完全に取り外してしまいたいという事でテストです。
ガーーーン!!!!エンジンがかかった瞬間にエンジンのチェックランプが点灯
すぐに診断機に繋いでエラー診断すると入庫時と同じエアーポンプ関係のエラーを吐いているだけなので一安心!!
エラーをリセットでチェックランプは消えました。イモビライザー(バルブ)を完全に取り外してしまってもエラーは出ず何の不具合もなさそうです。まぁ!全くチェックランプの原因の修理はしていないのですぐに点灯すると思いまがエアーポンプのエラーであれば走行に支障ないので今回はスルーです。
クラッチ残量チェック
最後にオーナ様から依頼されていたエンジンオイル交換とランボルギーニ専用テスターでクラッチ残量をチェックして今回の作業は終了〜〜。
クラッチ使用率は21.43% MAXを100%として21.43%減っているという事です。残21.43%ではありません。
このお車は約二年前に当社にてクラッチを交換しております。オーナー様はクラッチに優しい乗り方をしているそうですが、もし荒い乗り方をしていると2年くらいでクラッチ交換時期になるのではないでしょうか?ムルシエラゴのクラッチ交換はエンジンを下ろさないと不可能です。費用もパーツ代と工賃で100万円以上かかってしまいます。オーナー様がクラッチの残量を気にするのもよくわかります。
まとめ
今回のムルシエラゴの症状はガレージで停めていてエンジンをかけようとしてもセルモーターが回らずエンジンがかからない状態でした。ムルシエラゴのセキュリティーユニットはリモコンキーでドアロックを解除しないとセルモーターを回さないセキュリティー機能もついています。オーナー様からの話によるとセルモーターが回らない場合が多々あり、その際は一度キーを抜いてリモコンキーでドアロック・アンロックを繰り返すとエンジンがかかるとの事でしたので、最終的にはセキュリティーユニットがドアロック解除されているのに、セキュリティー側はロック状態と誤作動を起こしていたのでしょう。
PINカードに記載されている6桁のPINコードがあればユニットをリセットかけて様子を見る事も可能ですが、リモコンキー不調でリモコンキーを交換するにもリモコンキーとユニットをセットで交換しなくてはいけません。またユニット不調の場合もリモコンキーとセットです。その際にもイモビライザー(燃料カットバルブ)側に記憶された古いPINコードをリセットする為に古いユニットのPINコードが必要です。
ムルシエラゴオーナーの方もPINコードって何?と思う方も多いかと思います。今回のブログ記事の内容でもわかると思いますが、PINコードは重要です。決して捨てないでください。もし、中古車で購入する場合はPINカードの有無も御確認ください。無いと今回の様になった時に困りますよ!
最後に今回、当社レッカーサービス農協自動車にて保険会社様からのロードサービス依頼を受け、大阪から和歌山の修理工場まで搬送させて頂いた事がきっかけで記事にさせていただくとこができました。オーナー様と修理業者様に感謝致します。
●ランボルギーニ ムルシエラゴ LP640 E-gear ロードサービス搬送
※ムルシエラゴやディアブロで今回と同じ様な症状で困っている方は農協自動車に御相談ください。当社で修理は出来ませんが今回の修理工場に取り次ぎ致します。